貸工場における照度の基準とは?明るい場所で作業する必要性を解説

貸工場における照度の基準とは?明るい場所で作業する必要性を解説

貸工場の賃貸借契約を検討している場合、物件選びのポイントとして、立地や家賃だけでなく照度にも注目しましょう。
貸工場の照度が不足していると、トラブルや作業効率低下の原因となるため注意が必要です。
今回は、貸工場における照度の必要性や照度の基準、そして基準を満たした照度を保つための対策について解説します。

貸工場における照度の必要性

貸工場における照度の必要性

利用する貸工場を探す場合に注目すると良いポイントのひとつが、工場の明るさを示す照度です。
貸工場において、明るい場所で作業する必要性は高く、従業員が働きやすい環境を構築するためには、照度が基準を満たすかどうかを重視する必要があります。
まずは、貸工場における照度の必要性について、「安全」と「作業効率」の2点から確認しましょう。

従業員の安全を確保するために明るい場所で作業する必要性がある

貸工場を明るくする必要があるのは、従業員の安全を確保するためです。
経営者の目線としては、電気代を削減したいところではありますが、暗い照明を使っていると、従業員が目を酷使し、疲労がたまりやすくなるでしょう。
そのような状況で長時間にわたって作業をすると、肩こりや頭痛などの慢性的な悩みを抱える従業員が出たり、視力を低下させる従業員が出たりする可能性が高くなります。
また、暗い場所での作業を強いた結果、手元や足元が見えにくくなり、思わぬ怪我が発生する可能性も否定できません。
従業員にとって快適な労働環境を構築し、心身の健康を守るためには、後述する基準を満たした照度で現場を明るく照らす必要性があります。

作業効率を高めるためにも明るい場所の必要性は高い

作業効率を高めたり、生産する商品の品質を守ったりするためにも、明るい照明を用意する必要性は高いです。
たとえば、細かな作業をおこなう製造ラインの照度が暗すぎると、従業員は作業に集中できず、作業時間が想定を上回る可能性が高まるでしょう。
作業中のミスが増える確率が上がることや、異物混入といったトラブルが発生しやすくなることも、暗い貸工場で作業をおこなうデメリットです。
何らかのトラブルが発生した場合、顧客は貸工場を訪れて作業環境を確認することを希望することがあります。
この場合に、「照度が暗すぎるのではないか」といった指摘が入ると、顧客からの信頼を失い、継続的な受注が難しくなるかもしれません。

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貸工場における照度の基準

貸工場における照度の基準

貸工場において、明るい場所で作業する必要性の高さを感じたものの、具体的にどのくらいの照度にすれば良いのかわからない方は多いかもしれません。
貸工場に必要な照度は、JIS(日本興業規格)によって、作業や活動の内容ごとに細かく定められています。
ここでは、そもそも照度とは何かについて触れたうえで、作業内容ごとに必要な照度を解説します。

そもそも照度とは何か

照度とは、単位面積あたりに差し込む光の量を指す言葉で、単位はLx(ルクス)です。
照度は照明などの光源から発生する光の量そのものではなく、光によって照らされる面の明るさを指します。
デスクを照らしている電気スタンドを例にとると、電気スタンド自体の明るさではなく、電気スタンドによって照らされたデスクの明るさを指す言葉が照度です。

必要な照度は日本工業規格によって定められている

貸工場において必要な照度は、日本工業規格(JIS)によって細かく定められています。
たとえば、自宅のデスクで快適に読書をするために必要な照度は300~750Lxです。
貸工場では、業種などによって作業内容が大きく異なるため、一律で最適な照度を決めることはできません。
そのため、日本工業規格では、作業や活動の種類ごとに必要な照度を細かく決めています。

作業の内容ごとに必要な照度

まずは、日本工業規格によって定められた、作業内容ごとに必要な照度を確認しましょう。

●印刷工場や精密機械工場における極めて細かな作業の基準:1,500~3,000Lx
●印刷工場における植字構成や繊維工場における選別施業などの基準:750~1,500Lx
●一般的な製造ラインでおこなう軽作業の基準:300~750Lx
●検査や試験などの組み立てを伴わない作業の基準:75~300Lx
●荷物の移動や積み下ろしといった作業の基準:30~75Lx


1mm単位の傷を確認する場合など、極めて細かい作業をおこなう貸工場では、手元がしっかりと見える明るさを確保する必要があるため、読書時と比較して3倍~4倍の照度が必要です。
植字構成や選別作業といった細かい作業をおこなう場合は、読書時の約2倍となる750~1,500Lxの照度が必要とされています。
一般的な製造ラインでおこなう軽作業や組み立てや検査などを伴わない作業の場合は、読書と同じかそれよりもやや暗い照度で大丈夫です。
荷積みや荷下ろしといった、いわゆる「力仕事」と呼ばれる作業に関しては、30~75Lx程度の照度で対応できます。

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貸工場の照度を保つために有効な対策

貸工場の照度を保つために有効な対策

貸工場では、従業員が作業しやすい照度を保つために、さまざまな工夫を用いて対策を講じています。
とくに、1つの貸工場内で複数の作業をおこなう場合は、セクションごとに最適な照度を保つための対策が必要です。
ここでは、コストを抑えつつ、日本工業規格が定めた照度を保つために有効な対策を3つ解説します。

照度を保つ対策①LED照明を利用する

LED照明は、通常の照明と比較して目の負担が少ないため、細かい作業をおこなう現場に適した照明器具です。
LED照明は光のちらつきが少なく、とくに検査や選別といった作業をおこなう貸工場においては、LED照明の導入が必須ともいえるでしょう。
蛍光灯と比較して消費電力が少なく、寿命が長いこともLED照明の特徴であり、蛍光灯からLED照明に交換するだけでコスト削減を実現できる可能性が高いです。
LED照明は、貸工場のみならず、一般的なオフィスや住宅への導入も進んでおり、スタンダードな照明になりつつあります。

照度を保つ対策②スポット照明を利用する

スポット照明とは、特定の場所や対象物に対して、ピンポイントで光を照らす照明器具です。
壁や天井に配線工事をおこなって取り付けるタイプやスタンド型のタイプがあり、貸工場の環境や作業範囲に合ったタイプのスポット照明を利用できます。
精密機械の組み立てといった細かい作業をする場合は、手元に光を当てやすいスポット照明が頼りになるでしょう。
製品の最終チェックといったデリケートな局面においても、スポット照明は大いに役立ちます。

照度を保つ対策③照度を向上させるカバーを利用する

何らかの事情により、蛍光灯をLED照明に交換できない場合は、照度を上げるカバーを装着して対策すると良いでしょう。
たとえば、蛍光灯を覆う「ルミキャップ」は、特殊なカバーを用いて蛍光灯の光を反射するカバーで、そのままの状態で蛍光灯を使う場合と比較して、照度が大幅に上がります。
また、蛍光灯の落下といった万一のトラブルが発生しても、カバーが蛍光灯を覆っているため、ガラスの飛散を防げます。

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まとめ

貸工場では、明るい場所で作業をする必要性が高いため、物件選びの際は照度にも注目しましょう。
必要な照度の基準は、日本工業規格によって定められており、作業の内容によって異なります。
貸工場の照度を保つためには、LED照明やスポット照明を利用したり、蛍光灯にカバーを取り付けたりといった対策が有効です。