事務所向け火災保険の補償内容は?休業補償や特約についても解説!

事務所向け火災保険の補償内容は?休業補償や特約についても解説!

事務所を借りて運営するときに重要なリスク管理の一環として、火災保険への加入が挙げられます。
しかし一口に火災保険といっても補償内容などは商品によって大きく異なるため、万が一のときに備える意味でも事前に確認しておくことが大切です。
そこで今回は、事務所向けの火災保険の建物・設備に対する補償内容や休業補償に関する特約の概要、特約でカバーできるそのほかの補償について解説します。

事務所向けの火災保険の建物・設備に対する補償内容

事務所向けの火災保険の建物・設備に対する補償内容

賃貸事務所を利用するときには、加入する火災保険の補償範囲をしっかりと理解しておくことが重要です。
ここでは、事務所の建物や設備が破損したときの火災保険の補償内容について解説します。

建物に対する補償

事務所向けの火災保険に加入すると、火災や自然災害などによって建物が損害したときの補償を受けられます。
ただし賃貸事務所では、建物そのものの補償は通常、オーナー側が加入している火災保険でカバーされます。
そのため、事務所を借りるときに加入する火災保険では、建物に関する補償は付けないケースが一般的です。

借家人賠償責任保険の補償内容

賃貸事務所に対して借主が負担しなければならない損害については、借家人賠償責任保険でカバーします。
借家人賠償責任保険は、借主が使用中の不注意や事故、自然災害などにより建物を損傷させたときに、オーナーに対して負う損害賠償を補償してくれる保険です。
たとえば、事務所内で火災が発生して壁や床が損傷したときに修繕費用がカバーされます。
賃貸事務所のオーナーとしても万が一の安心につながるため、事務所を借りるときには借家人賠償責任保険付きの火災保険に加入するケースが一般的です。

個人賠償責任保険でほかのテナントへの損害をカバー

借家人賠償責任保険ではカバーしてもらえない内容でも、個人賠償責任保険に加入していると補償を受けられることがあります。
たとえば、ビル内に入っているほかのテナントとの間に法律上の賠償責任を問われる問題が発生したときに個人賠償責任保険に加入していると、その損害を補償してくれます。
ほかのテナントの窓ガラスや所有物を誤って破損させてしまったなどのときは借家人賠償責任保険の対象外のため、万が一の事態に備えて個人賠償責任保険にも加入しておくのはひとつの手です。

設備や備品に対する補償

事務所内に設置されている備品や設備も、火災保険の補償対象です。
具体的には、空調設備や照明器具、カーペット・ブラインドなどの内装設備が該当します。
ただし設備や備品の補償範囲は保険商品によって異なるため、契約時に補償内容を確認することが重要です。

家財保険の役割

事務所内にあるパソコンや家具、オフィス機器などの家財は、火災や盗難、水漏れなどの被害を受けたときに家財保険で補償されます。
家財の補償が不十分だと、オフィス機器などの買い換えに多額の費用が必要となって業務継続に影響をおよぼしかねません。
そのため、事務所に合った補償をしてくれる家財保険を選ぶことが大切です。
ただし家財保険はあくまでも自分の所有物に対しての補償であるため、レンタル・リース品は対象外です。

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事務所向けの火災保険の休業補償特約

事務所向けの火災保険の休業補償特約

火災や自然災害が原因で事務所が使用できなくなったときには、業務の中断により収入が減少するリスクがあります。
これに備えるために活用されるのが「休業補償特約」です。
リスクに備えるためにも、火災保険に加入するときには休業補償特約の設定も検討することをおすすめします。

休業補償特約とは?

休業補償特約は、災害や事故などの影響で事務所が利用できない期間の収入減少分を補償してくれる特約です。
たとえば火災によって事務所が損壊し、一時的に営業ができなくなったときに生じた休業中の損失を一定額補償してもらえます。
また仮店舗費用や移転したことを知らせる広告費、外注費など休業による損失を最小限に食い止めるための施策についても補償を受けることが可能です。
ただし火災保険に補償を付けすぎると、結果的に保険料が高くなってしまいかねません。
そのためいくらの休業補償特約を付けたほうが良いかで迷ったときには、毎月の平均粗利をもとに休業したことによる1日あたりの損失を求めたうえで検討することがポイントです。
なお、事由によっては保険金が支払われないこともあります。
したがって保険に加入するときには補償内容だけでなく、どのようなケースで保険金が支払われないのかを確認しておくことも重要です。

休業補償特約で補償してくれる金額

休業補償特約により支払われる保険金は「休業損失保険金額(契約金額)× 休業日数」で算出されます。
保険金額は、1日あたりの粗利をもとに設定される点がポイントです。
たとえば年間粗利益が6,000万円、年間営業日数が300日のケースでは1日あたりの粗利益は20万円となるので、これをもとに保険金額が設定されます。
ただし、休業補償特約では休業中に発生した損失のすべてをカバーできるわけではありません。
「売上減少高×支払い限度率-保険金支払い対象期間内に支出を免れた経常費などの費用」の計算式で算出される数字が支払い限度額となります。

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事務所向けの火災保険の特約でカバーできるそのほかの補償

事務所向けの火災保険の特約でカバーできるそのほかの補償

火災保険は基本的な補償内容に加えて、特約を追加するとカバーしてもらえる範囲を広げることが可能です。
ここでは、業務運営に役立つ特約をいくつかご紹介します。

データ損害補償特約

近年、デジタル化が進むなかで事務所内のパソコンやサーバーに保存されたデータの重要性が高まっています。
データ損害補償特約は火災や水害などでデータが破損したときに、その復旧費用を補償するものです。
たとえばIT企業だと、顧客のプロジェクトデータが損傷したときに多額の復旧費用が必要となりかねません。
しかし火災保険にデータ損害補償特約を付けておくと復旧に関する損害額を補償してもらえるので、経営に支障をきたすことなく迅速な復旧が可能となります。
賃貸事務所内で多くのデータを扱うときには、火災保険に付けておきたい特約のひとつです。

食中毒・感染症補償特約

施設内で食中毒、エボラ出血熱・ペスト・新型コロナウイルス感染症などの感染症が発生したことによる営業休止にともなう損失を補償してくれる特約です。
また、この特約を付けておくと消毒や検査、予防にかかった費用についても補償してくれます。
さらに指定感染症が発生したときに保健所の指示で消毒などをおこなったときには、保険金として20万円を前払いしてもらえる点も特徴です。

休業損失拡張補償特約

休業損失拡張補償特約は、休業補償特約の補償内容を拡充するものです。
建物の付帯設備や工場のユーティリティ設備が電気的・機械的事故などによって損害を被って休業を余儀なくされたときに、休業2日目以降の損害を補償してもらえます。
ただし、補償期間の上限は休業損失補償条項の約定復旧期間である点に注意が必要です。

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まとめ

事務所を借りるときに火災保険に加入すると、火災などの災害で損害を受けたケースだけでなく、大家さんやほかのテナントに対する損害賠償も補償してくれます。
また万が一火災などで休業を余儀なくされても、休業補償特約を付けておけば休業中に生じた損失を保険金でまかなうことが可能です。
そのほか、事務所向けの火災保険にはデータの破損時に補償を受けられるなどさまざまな特約も付けられます。