貸倉庫の契約前に知りたいキュービクルとは?導入のメリットと注意点を解説

貸倉庫の契約前に知りたいキュービクルとは?導入のメリットと注意点を解説

ビジネスのために貸倉庫を借りる場合、どのような設備があるかを確認することが大切です。
しかし、場合によっては必要な設備が整っていないことがあるため、自分で導入する必要があります。
そこで今回は、電力供給に関連するキュービクルとはどのようなものなのか、導入のメリットと注意点を解説します。

貸倉庫のキュービクルとは

貸倉庫のキュービクルとは

貸倉庫を契約される方のなかには、キュービクルがどのようなものかご存じない方がいらっしゃるかもしれません。
まずは、キュービクルとは何なのか、具体的な内容をチェックしてみましょう。

キュービクルの役割

キュービクルとは、電力会社から届く高圧電力を低圧に変えるための高圧受電設備です。
貸倉庫の敷地内にある、窓の付いた金属製の箱がキュービクルです。
キュービクルの存在により電力を効率良く使えることから、大量の電力を消費する貸倉庫で必要な設備となります。
また、キュービクルはどの貸倉庫にも設置義務があるわけではなく、電気供給契約が50kW以上の場合に義務付けられている設備です。
設置とともに定期的な点検も義務付けられているので、キュービクル導入をお考えならば、メンテナンスについても考えておくと良いでしょう。

キュービクルが必要なケース

キュービクルは、一般的な契約で使える低圧電力では対応できない貸倉庫で必要になる設備です。
貸倉庫で重機を使用する場合、大量の電力が必要になるため、キュービクルが必要になります。
また冷凍倉庫などでは、24時間365日休みなく、常に大量の電力を消費し続けます。
そのため、温度コントロールが必要な貸倉庫では、キュービクルの導入が欠かせません。
さらに、多くの機械を動かす製造工場を置く予定の貸倉庫も、キュービクルが必要な場所といえます。

キュービクルの導入

契約する貸倉庫にキュービクルが必要だと判断した場合、キュービクル付きの貸倉庫を探すか、自分でキュービクルを導入するかのいずれかの対応が必要になります。
キュービクル付きの貸倉庫を探すならば、地理的な停電リスクと地域の電力供給状況を把握したうえで、契約することが大切です。
また、自分で貸倉庫にキュービクルを導入する場合は、初期費用が必要になります。

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貸倉庫にキュービクルを導入するメリット

貸倉庫にキュービクルを導入するメリット

キュービクルとは、大量に電力を消費する貸倉庫に欠かせない設備です。
キュービクルを導入した場合、どのようなメリットがあるかをチェックしてみましょう。

メリット①電気料金のコストを削減できる

キュービクルを導入した場合、電気料金が変わり、コストを削減できることがメリットです。
キュービクルが電気料金コストを削減できるのは、高圧電力契約が可能になるためです。
一般の貸倉庫では低圧電力契約を結びますが、この契約は高圧電力契約より電気料金が高く設定されています。
キュービクルが導入された倉庫では、高圧電力をそのまま受け取れることから、電気料金が安い高圧電力契約が可能になります。

メリット②電力の安定供給が可能になる

電力会社から高圧電力を受け取れるキュービクルは、貸倉庫における電力の安定供給を可能にするメリットがあります。
キュービクルが導入されておらず、低圧電力しか使えない貸倉庫だと、機械の稼働に電力が足りなくなるかもしれません。
キュービクルによる電力の安定供給が実現できれば、安定したビジネスの継続とともに、安定した利益が生み出せるでしょう。

メリット③安全性が高い

さまざまな受変電設備のなかでも、キュービクルには高い安全性があります。
キュービクルに高い安全性があるのは、その設備が金属の箱でカバーされているためです。
設備がカバーされていない受変電設備では、使用時に感電事故が発生しやすく、安全な倉庫環境が保てません。
また、キュービクルのようにカバーがない受変電設備は、ネズミなどの小動物が入り込みやすいため、停電リスクがあります。
もちろん、紫外線や雨がダイレクトに当たらず、故障などのトラブルが起こりにくいこともキュービクルのメリットです。

メリット④設置が簡単

キュービクルは、工場で完成した状態で届くため、設置が簡単であることがメリットです。
実際にキュービクルを設置する場合、配送のために1~3面に分割されたものを接続する必要があります。
届いたキュービクルを所定の場所に置き、分割された配線を接続して設置は完了です。
ほかのタイプの受変電設備だと、現地で時間をかけて最初から機器を組み立てるため、手間がかかります。
キュービクルは設置が簡単であり、すぐに貸倉庫でのビジネスに取りかかれることにメリットがあるといえるでしょう。

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貸倉庫にキュービクルを導入する場合の注意点

貸倉庫にキュービクルを導入する場合の注意点

貸倉庫へのキュービクル導入には、コスト面や安全面などにさまざまなメリットがあります。
しかし、いくつかの注意点があるので、貸倉庫の契約前には目をとおしておきましょう。

注意点①大型の変圧器は使えない

キュービクルはコンパクトな金属製のボックスであり、なかに納められる変圧器のサイズには限界があります。
そのため、なかに入れたい変圧器の大きさによっては、キュービクルでの導入ができないことが注意点です。
具体的には、1,000kVAを超える変圧器は大型となるため、キュービクルに収納できません。
貸倉庫でどのくらい電力が必要かを試算したうえで、必要な機器がキュービクルに入るかどうかを確認してみましょう。

注意点②将来の拡張を考慮する

スペースに制限があるボックスタイプのキュービクルは、設備の拡張に大きな費用と手間がかかります。
そのため、将来の拡張を考慮したうえで、内部を設計することが注意点です。
貸倉庫における将来の計画によっては、キュービクル内の機器を増設するための開閉器があるか、空き回路が確保できるかなど余裕を持たせた設計が必要になります。
また敷地について、キュービクルを追加で設置するためのスペースがあるかなども、将来の計画のなかで考えておきたいポイントです。
このほかに、キュービクルを屋上に置くタイプの貸倉庫であれば、クレーン作業が問題なくおこなえるかを確認することが注意点となります。

注意点③定期的に保安点検をおこなう

キュービクルは高圧電力を受け取る設備であることから、ルールを守り、定期的な保安点検をおこなうことが注意点です。
キュービクルの設置には、電気事業法に示された設置基準を守るのはもちろんのこと、保安点検についても法的な義務を守る必要があります。
法令を無視して定期的な保安点検がおこなわれないキュービクルは、設備のトラブルが発生しやすく、人的な被害とともにビジネスに大きな被害を与えるかもしれません。
法令に沿って保安点検をしている貸倉庫だとアピールできれば、安全に配慮したビジネスパートナーとして信頼されるでしょう。

注意点④長期的なコストを考える

キュービクルは安全のために必要な設備ですが、導入にあたっては長期的なコストを計算しておくことが注意点です。
キュービクルが付いていない貸倉庫では、自分で初期費用を負担する必要があります。
この初期費用と保安点検などにかかる費用を計算したうえで、貸倉庫でのビジネスの利益が見込めるかを考えてみましょう。
キュービクルにはさまざまなコストがかかりますが、短期的な視点でコストを削減するのではなく、キュービクルのメリットを把握したうえで長期的にコスト回収を考えることが大切です。

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まとめ

キュービクルとは、一般的な低圧電流を高圧電流に変えるための受電設備です。
貸倉庫にキュービクルを導入した場合、電気料金が安くなることや安全に電気を使用できることなどがメリットです。
ただし、将来的な拡張を考慮した設計や定期的な保安点検が必要になることは、キュービクル導入の注意点といえます。