貸倉庫で活躍するドックレベラーとは？種類や導入のメリットについて解説

事業を成功させるためには、貸倉庫を契約した後で導入する設備の選定が欠かせません。
物流効率を向上させる設備であるドックレベラーについて、ご存じない方も多いでしょう。
そこで今回は、貸倉庫で活躍するドックレベラーとはどのような設備か、種類や導入のメリットについて解説しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

貸倉庫で活躍するドックレベラーとは？

初めて物流業を開業する方にとって、ドックレベラーは馴染みのない設備かもしれません。
ここでは、ドックレベラーの概要と発展、ドックシェルターとの違いについて解説します。

ドックレベラーの概要

ドックレベラーとは、倉庫の搬出入口とトラックの荷台に生じる高低差を解消する装置です。
簡単にいうと、倉庫とトラックをつなぐ橋渡しの役割を果たし、床に傾斜を設けて段差をなくす仕組みのことを指します。
ドックレベラー設置の目的は、荷物の破損やフォークリフトの転倒事故を防止することです。
倉庫の段差を解消する工事には多くのコストがかかり、賃貸借契約の規約上、工事ができない場合もあります。
そのため、倉庫内作業の安全性や効率性を高めるためにドックレベラーが活用されます。

ドックレベラーの発展

ドックレベラーは物流業界の歴史の流れとともに、使いやすさを向上させて発展してきた設備です。
初期は、手動で作動させるシンプルな構造のものが主流でした。
しかし、扱う荷物の量や重さが増加するにつれて、より効率的に使用できるドックレベラーが求められるようになりました。
現在では、電動で大量の荷物を扱えるドックレベラーが主流となっています。
以下でも解説しますが、多様な倉庫のニーズに対応する異なる種類のドックレベラーが登場しています。

ドックシェルターとの違い

ドックレベラーと似ている設備の一つに、ドックシェルターがあります。
ドックシェルターとは、倉庫の搬入口とトラックの荷台の隙間を埋める気密装置です。
ドックシェルターの主な目的は、倉庫内の空気を逃がさず、室温を一定に保つことです。
温度管理が必要な食品や電子・精密機器、医薬品などの倉庫で多く使用されています。
ドックレベラーは床の高さ調整、ドックシェルターは壁の隙間の密閉装置と理解するとわかりやすいでしょう。

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貸倉庫で使用されているドックレベラーの種類

貸倉庫で使用されているドックレベラーには、用途によって異なる種類があります。
貸倉庫で新たに事業を始める場合は、扱う荷物や作業形態に合わせた設備を導入すると良いでしょう。
ここでは、4種類のドックレベラーを解説します。

機械式ドックレベラー

機械式ドックレベラーは、内部に設置されたスプリングの作動により段差を解消する仕組みです。
ほかの種類のドックレベラーより安価で導入しやすい点が特徴です。
電源が不要で設置しやすいため、小規模な倉庫での使用に適しています。
ただし、ほかの種類に比べて耐用性が低く、買い替えのスパンが短くなるデメリットがあります。

油圧式ドックレベラー

油圧式ドックレベラーは、油圧装置を使って高さを調整する仕組みです。
ボタン操作だけで作動できるため、作業が簡便である点が特徴です。
荷物の重量に応じた調整も可能で、安全性が高く大量の荷物を扱う場合に適しています。
油圧式ドックレベラーは、作業が自動化されている倉庫や大型倉庫で多く使用されています。
長寿命で高頻度の使用にも耐えられる耐用性がメリットです。
ただし、オイルのメンテナンスが必要な点や、導入費用が比較的高い点がデメリットです。

エア式ドックレベラー

エア式ドックレベラーは、エアバッグの膨張・収縮により床の高さを調整するタイプです。
重量物を扱うのに適しており、操作も簡単な点が特徴です。
油圧式のように油さしやオイルメンテナンスが不要で、メンテナンスの手間がかからないことがメリットと言えるでしょう。
操作とメンテナンスが簡単なため、初めてドックレベラーを導入する企業に適しています。
一方で、エア式ドックレベラーは導入費用が高価な傾向があります。
初期に複数台導入する場合は、費用負担が大きくなる可能性があるでしょう。

簡易式ドックレベラー

簡易式ドックレベラーは、使用のたびに設置するタイプです。
倉庫とトラックの隙間にはめ込む形で使用します。
ドックレベラーの種類のなかでももっとも安価なため、台数をそろえやすい点がメリットです。
一方で簡易式の場合、作業のたびに設置する手間が生じます。
作業頻度の高い現場では、簡易式ドックレベラーの設置作業が効率低下の要因となる場合があるため、注意するようにしましょう。

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貸倉庫にドックレベラーを導入するメリット

貸倉庫で事業を開始する場合は、ドックレベラーの導入を検討することがおすすめです。
ここでは、貸倉庫にドックレベラーを導入するメリットを3つ解説します。

メリット①物流効率の向上

ドックレベラーを導入すると、倉庫とトラックの荷台の高低差が解消されるため、物流効率が向上します。
トラックの種類や荷物の重さによっても、高低差には差異が生じます。
油圧式やエア式などのドックレベラーでは、ボタン操作で高低差の調整が可能です。
荷物の積み下ろしが容易になり、作業時間が短縮されることで、1日あたりの対応台数が増加します。
トラックの待機時間も短縮され、稼働効率が向上します。
スロープや仮設の台を使用する場合に発生する設置や撤去の時間も短縮可能です。
結果として、作業全体の効率が向上し、処理可能な荷物量が増加します。

メリット②多様なトラックに対応

ドックレベラーは、倉庫に出入りする多様なトラックに対応できます。
トラックには、以下のような車種の違いがあります。

●小型
●中型
●大型
●ウイング車
●トレーラー

ドックレベラーを使用すれば、スロープなどを設置する場合と比較して、トラックごとに設備を変える必要がないため便利です。
ドックレベラーには、作業者が操作する高さ調整機能に加え、フローティング（追従）機能を備えたものもあります。
積み下ろし中にトラック内の荷物の重量が変化すると、荷台の傾きが微妙に変わることがあります。
フローティング機能を備えたドックレベラーは、自動的に傾きに追従するため、連続的な作業が可能です。

メリット③安全性の確保

倉庫の運営において、人員の安全性の確保は欠かせません。
ドックレベラーを導入すれば、段差や隙間による作業員の転倒や荷物の落下事故を防ぐことができます。
また、ドックレベラーによってスムーズな倉庫作業が可能になると、作業者の負担や疲労が軽減され、人的ミスの発生も抑制されます。
安全にドックレベラーを使用するためには、用途や倉庫環境に適した種類を選定することが重要です。
ドックレベラーを選定する際は、以下のポイントに注意が必要です。

●使用頻度
●積載荷重
●サイズ
●作業ルート設計
●搬入口の構造

ドックレベラー上には、大きな荷物やフォークリフトなどの重量が載るため、用途や環境に合わないものを使用すると、事故の原因となります。
倉庫作業の安全性を高めるためには、まず倉庫の環境を十分に把握したうえで、最適なドックレベラーを導入することが重要です。

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まとめ

ドックレベラーとは、倉庫の搬出入口とトラックの荷台に生じる高低差を解消する装置です。
ドックレベラーには、機械式や油圧式、エア式などの種類があり、扱う荷物の重量や倉庫の規模によって適切なものを選べます。
作業効率や安全性が向上する点、さまざまなトラックに対応できる点がドックレベラー導入のメリットです。