工場を重量鉄骨で建築するメリットとは?デメリットも解説!

工場を重量鉄骨で建築するメリットとは?デメリットも解説!

工場を建築するときに用いられる構造には、重量鉄骨造や軽量鉄骨造などさまざまあります。
このうち重量鉄骨とはどのような構造か、工場を重量鉄骨で建築することにメリットはあるのかなどが気になっている方も多いでしょう。
そこで今回は、工場建築によく利用される重量鉄骨の概要や、重量鉄骨で工場を建築するメリット・デメリットについて解説します。

工場建築によく利用される重量鉄骨とはどのような構造か?

工場建築によく利用される重量鉄骨とはどのような構造か?

これから工場を建築する予定があるのなら、構造ごとの特徴をしっかりと把握しておくことが欠かせません。
ここでは、工場建築によく利用される重量鉄骨とは何かについて解説します。

重量鉄骨とは?

重量鉄骨とは、その名のとおり、肉厚で重い鉄骨を主要な構造材として使用する建築工法のことです。
日本の建築基準法では厚さ6mm以上の鉄骨部材を「重量鉄骨」と定義しており、柱や梁などに用いられることが一般的です。
重量鉄骨はその高い強度や耐久性が特徴であり、大規模な工場や高層ビル、商業施設などで多く採用されています。
使用する鋼材そのものも厚く、曲げや衝撃、重量に対する耐性が高いため、天井の高い工場や大空間を必要とする用途に最適です。

軽量鉄骨との違い

軽量鉄骨とは、厚さ6mm未満の鋼材を使用した構造を指します。
主に住宅や小規模な店舗などに採用されており、施工性の良さやコストパフォーマンスの高さが魅力です。
軽量鉄骨は、プレハブ住宅やアパートなどの構造に利用されるケースが一般的で、工場のように広大な空間や高い天井を要する建築物にはあまり用いられません。
軽量鉄骨と重量鉄骨の大きな違いは、その耐荷重性とスパン(柱と柱の間の距離)です。
重量鉄骨は長いスパンを飛ばすことが可能で、柱の本数を減らしながらも広い空間を実現できるのに対し、軽量鉄骨はスパンが短く、設計上どうしても柱が多くなりがちです。
この違いが、工場や倉庫など広い空間を必要とする建築物で、重量鉄骨が選ばれる大きな理由となっています。

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重量鉄骨で工場を建築するメリット

重量鉄骨で工場を建築するメリット

工場を重量鉄骨で建築することには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、工場を重量鉄骨で建築するメリットを見ていきましょう。

メリット①強度の高さ

重量鉄骨の大きなメリットは、何といってもその強度です。
重量鉄骨造では、厚さ6mm以上の鋼材を使用しており、建物自体の耐荷重性を軽量鉄骨造よりも高められます。
これにより、重い機械の導入や大型クレーンの設置など、工場特有のニーズにも十分対応可能です。
床や梁などの強度が不足していると、工場内で重量物を扱うときに、重大な事故につながってしまいかねません。
その点、構造として重量鉄骨を選択すれば、安全性と安心を確保できるのは大きなメリットです。

メリット②優れた耐震性

地震大国である日本では、工場の建築時に一定の耐震性を確保することが欠かせません。
その点、重量鉄骨造は、地震の揺れにも強いとされています。
これは、鋼材自体のしなやかさや、部材の結合部の設計によるものです。
地震エネルギーをうまく吸収・分散することにより、建物の損壊リスクを大幅に低減できます。
とくに、工場のように生産設備や従業員の安全を最優先に考える現場において、耐震性の高さは建築方式を選ぶうえで欠かせません。

メリット③広い空間を実現できる

重量鉄骨は、大スパン構造が得意です。
つまり、柱と柱の間隔を広く取れるため、工場内部に広い無柱空間を作れます。
これには、生産ラインや物流動線の自由度を高めるだけでなく、将来的なレイアウト変更や設備の拡張にも、柔軟に対応できるメリットもあります。
無柱空間の実現によって、大型クレーンや搬送機器などの導入もスムーズになり、生産効率や作業の安全性をより向上できるのです。

メリット④耐久性の高さ

重量鉄骨造は、ほかの構造よりも耐久性が高い点も大きな魅力です。
防錆処理や定期的な塗装を適切におこなえば、数十年単位で安定した強度を維持できるため、工場の資産価値を長く保てます。
実際、国税庁では、鉄骨造の耐用年数を3mm以下のもので17年、3mmを超え4mm以下のもので24年、4mmを超えるもので31年と定めています。
重量鉄骨造では、厚さ6mm以上の鋼材を使うので、耐用年数は31年です。
軽量鉄骨造よりも、高い耐久性が期待できます。

メリット⑤防音性が高い

軽量鉄骨造より防音性に優れている点も、重量鉄骨造で工場を建築するメリットです。
重量鉄骨では、軽量鉄骨よりも厚い構造を使用するため、必然と壁にも厚みがあります。
そのため、工場内で発生する音が外に漏れて、近隣トラブルにつながるリスクを軽減できます。

メリット⑥品質が安定している

工場の建築時に用いられる重量鉄骨は、工場で生産されています。
そのため、鉄骨によって、品質にばらつきが出るリスクが軽減される点はメリットです。
また、主要なパーツを工場である程度組み立てた状態で、現場に持ち込んで建築するため、職人のスキルによって出来が左右される心配もありません。

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重量鉄骨で工場を建築するデメリット

重量鉄骨で工場を建築するデメリット

重量鉄骨にはさまざまなメリットがある一方で、押さえておかなければならないデメリットもあります。
重量鉄骨で工場を建築してから後悔することを防ぐためにも、どのようなデメリットがあるのかを確認しておきましょう。
ここでは、重量鉄骨で工場を建築するデメリットについて解説します。

デメリット①費用が高額になりやすい

重量鉄骨造では、使用する鋼材が厚いため、建築コストが軽量鉄骨造に比べて高くなる傾向にあります。
材料費だけでなく、クレーンなどの重機を使った施工費も上乗せされます。
工場の規模が大きくなるほどそのコスト差は広がりやすく、事業計画を立てるときには、資金調達やコスト管理に十分な注意が必要です。

デメリット②地盤への配慮が必要

重量鉄骨造で建築すると建物自体が重くなるため、建築予定地の地盤強度にも注意を払う必要があります。
地盤が弱いケースでは、地盤改良工事や杭打ち工事など、追加の基礎工事が必要です。
これにより、さらに建築費用が高くなったり、工期が延びてしまったりしかねません。
とくに、埋立地や河川近くの軟弱地盤では、事前の地盤調査を徹底し、専門家と十分に相談しながら計画を進めることが不可欠です。

デメリット③工期が長くなることがある

重量鉄骨造で工場を建築するときには、建物の重さを支えるためのしっかりとした基礎工事が欠かせません。
また、ケースによっては、前述のように地盤改良工事が必要になることがあります。
そのため、軽量鉄骨造で工場を建築するときよりも、工期が長くなる可能性が高い点はデメリットです。
工期が長引くと、工場の操業開始時期が遅れるリスクも考えられます。
そのため、大型の工場を重量鉄骨で建築するときには、建築スケジュールに余裕を持たせておくことが大切です。

デメリット④節税効果が薄い

重量鉄骨造の法定耐用年数は31年であり、耐用年数が24年の軽量鉄骨造よりも、節税効果が期待できない点もデメリットです。
ただし、法定耐用年数が長いと減価償却期間も延びて、長期にわたって経費を計上できるようになります。
年単位における節税効果は、軽量鉄骨造よりも低いものの、長期的に見れば利益を圧縮できて納税額を抑えることは可能です。

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まとめ

重量鉄骨造とは、厚み6mm以上の鋼材を使って建物を建築する構造です。
重量鉄骨造で工場を建築することには「強度や耐震性が高い」「広い空間を現出できる」などのメリットがあります。
ただし「建築コストが高い」「地盤改良が必要になることがある」などのデメリットがある点には注意が必要です。

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